JP労組第二回北海道地方大会傍聴記

   現場組合員の声を置き去りにした地本執行部!    

 7月9日〜10日、JP労組の第二回北海道地方大会は、郵政民営化見直しをめぐる政治的動きが激しくなるなか札幌市で開かれた。

 それは30支部中、29支部が発言するなど活発に、切実な意見が出た大会であった。各大議員は民営化を進める会社の諸施策のもとで、現場で生み出されている深刻な問題を取り上げ、発言した。                              

反面、反戦・平和を取り上げた代議員は少なく、今のJP労組の弱さを示していたと思う。また、再質問に4支部の代議員が立ったが、地本はごまかし答弁に終始した。

 

(1)JPEX問題

 地本は、JPEX採用問題で期間雇用社員の雇い止めについては「反対」だと述べた。しかしその実、「安易な雇用調整をおこなうことは絶対認められない」といい、「あくまで適正な要員配置のもとで雇用調整を行うこと」を申し入れたと答弁したのである。

 何のことはない。地本は会社の雇用調整を認め、これを前提にしたうえで拙速なそれには反対だというものでしかないのだ。残念ながら、代議員の中でこの地本答弁の欺瞞性をつく発言は現れなかった。

 会社はJPEXを、これまで以上に少ない要員でより生産性を高め、黒字を生み出す子会社にしていくことを目指している。労働者の雇用や労働条件は二の次、三の次なのだ。

 地本はこのような会社の姿勢を<良し>としている。だから会社による雇用調整(首切りのことだ!)を認め「安易なそれには反対」としか言わないのだ。そんな地本の考え、姿勢では10月の大量雇い止めに抗しえないのは明らかでないか。

 

 (2)「新たな人事・給与制度」

 この問題をめぐって多くの代議員が不安、懸念、反対の意見を述べた。「基本給に手をつけることに反対」という意見に端的に示されるように、「新たな人事・給与制度」の導入が社員間の競争と格差をさらに生み出し、それでなくとも薄れている組合員間の仲間意識を一層壊すものであることを深く懸念するものであった。

 これに対して、地本は民間会社にふさわしい「新たな人事・給与制度」だーと会社案を認めたうえで

@     本給の構成比率と給与・賞与の査定幅

A     納得性が担保される評価制度

B     チームによる評価制度

C     役職者登用基準の明確化

D     ポイント制退職金の十分な精査

E     原行賃金水準の現給保障

と問題点なるものを挙げた。

 これは中央本部が第二回全国大会で示したものと同じ。―中央本部はこの「改善案」をもとに会社と交渉を行い、その結果を現場に下ろすー地本はこれを了とするという答弁であった。

 「改善案」といっても、全て会社案の枠内でのこと。これでは組合員の賃下げ、競争と格差の拡大、組合の団結についての組合員の不安、心配が払拭されるはずはない。

 

 (3)反戦・平和 

 大不況のもとで失業者は巷にあふれ、貧困に喘ぐ労働者。一方で「いつか来た道」へ突き進む政府。いま北朝鮮による核実験、ミサイル発射を巡り、戦争の危機が一段と高まっている。「船舶検査」だけでない。これらを口実として「やられる前に敵地攻撃を」ということを言う自民党議員までいる。

 このような事態に警鐘を打ち鳴らす意見はほとんど出ずじまい。地本は「平和運動課題」として「連合の運動として対応する」といういつもながらのワンフレーズ答弁。平和運動といえば、現に起きている戦争、それへの加担に反対していくというのではなく、根室「北方領土返還集会」の類しか力を入れない。

 北朝鮮は批判しても、米日が一体となって核軍事力をバックに北朝鮮を脅し、中国やロシアへは対抗的な軍事力を強めていることに対してひと言もない。米軍再編、MD配備で「戦争のできる国」づくりが着々と進められているというのに。

 このような地本(中央本部)の考えと対応では反戦・平和の火をますます消すことにしかならない。

 

 このように大会の論議を聞きながら、考えたのは私だけでないと強く思った。

                                 (T・S)

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